「おいしい」目線で考える福利厚生マガジン|びずめしプラス

「ウェルビーイング」とは?企業が取り組むべき働き方改革・健康経営の重要指標

ウェルビーイング専門のサーヴェイが立ち上がるなど、注目が高まっている「ウェルビーイング」。健康経営において、従業員のメンタルヘルスへの取り組みが重視されるなか、健康・幸福度を大切にするの指標のひとつがウェルビーイングです。ウェルビーイングが重視される背景、評価方法、企業としての取り組み事例を紹介します。

Contents

ウェルビーイングとは「健康かつ幸福であること」

ウェルビーイング(well-being)とは、文字どおり「よい状態である」こと、すなわち「幸福」であることを意味します。幸福とは身体、精神だけでなく社会的にも満たされている状態のこと。「ウェルネス」や「ハピネス」に近い言葉ですが、ウェルビーイングは特に「持続的な幸福」を指します。

1946年に世界保健機関(WHO)が創設されました。その憲章前文のなかで「健康」を定義するものとして用いられたのが最初です。幸福度と聞いて思い浮かぶものに「世界幸福度ランキング」があります。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。また、持続可能な開発目標(SDGs)の中でもウェルビーイングが言及されています。近年ビジネス領域においても取り上げられることが増えています。

SDGsの目標3番「すべての人に健康と福祉を」の英語版は、”Good health and well-being”

日本の幸福度は?

国連が毎年3月に発表している「幸福度ランキング(World Happiness Report 2021)」。最新の2021年のランキングでは、日本は56位となっています。1位は4年連続でフィンランド。各国により幸福の感じ方はそれぞれですが、日本は「自由度」と「寛容さ」が上位国に比べて低いことが特徴です。有給休暇の取得率の低さなど、働き方が幸福度を決める一つの要素であることは間違いなさそうです。

4年連続幸福度ランキング首位のフィンランド

参考:「World Happiness Report 2021」

〈 幸福度調査 6つのアンケート項目 〉
・人口あたりGDP
・社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる人がいるか)
・健康寿命
・人生の選択の自由度
・寛容さ(過去1カ月の間に寄付をしたかなど)
・腐敗の認識(不満、悲しみ、怒りの少なさ、社会、政府の腐敗が蔓延まんえんしていないか)

PERMAの法則とその応用

PERMA理論は、ポジティブ心理学の父マーティン・セリグマン博士が提唱したもので、ウェルビーイングの5つの要素を定義しています。これらの要素は以下の通りです:

P (Positive emotion:ポジティブ感情) – 喜びや楽しみ、感動などのポジティブな感情。
E (Engagement:没頭・没入) – 仕事やスポーツ、趣味などに深く没頭すること。
R (Relationship:人間関係) – 他者との良好なつながりを楽しむこと。
M (Meaning:意味・意義) – 生活における意味や目的を見出すこと。
A (Accomplishment:達成) – 目標を達成する喜びや達成感​​。

ギャラップ社のウェルビーイング要素

ギャラップ社によるウェルビーイングの理解は、次の5つの要素に基づいています:
Career Wellbeing(キャリアに関する納得感) – 仕事や家事、ボランティア活動などに対する充実感。
Social Wellbeing(人間関係の円満さ) – 家族や友人、同僚などとの良好な関係。
Financial Wellbeing(経済的な充足感) – 経済的な安定感や十分な報酬。
Physical Wellbeing(心身の健康) – 健康な身体状態、適切な睡眠や運動。
Community Wellbeing(地域とのつながり) – 社会やコミュニティとの関わりや帰属感​​。
これらの要素は、個人が全体的な幸福感を感じ、健康で充実した生活を送るために不可欠です。企業や組織がこれらの要素に注目し、それらを支援することで、従業員のウェルビーイングを高め、生産性の向上や職場の満足度を高めることができます。

ウェルビーイングが注目される背景

現代社会において「ウェルビーイング」は、経済成長や物質的な豊かさを超えた新たな価値観として急速に注目を集めています。ウェルビーイングとは、個人の幸福や健康、さらには社会全体の繁栄を包括的に捉える概念であり、経済、環境、文化などさまざまな分野でその重要性が認識されています。世界経済フォーラムやOECDなどの国際機関も、ウェルビーイングを重要な指標として取り上げ、社会の持続可能な発展に向けた新たな方向性を示しています。このセクションでは、ウェルビーイングが注目される背景について、世界経済フォーラムとOECD「教育2030」プロジェクトの観点から掘り下げていきます。

世界経済フォーラムとウェルビーイング

ウェルビーイングとは、単なる経済的豊かさを超えた、生活環境の豊かさや幸福を包括的に指す概念です。世界経済フォーラム(WEF)においても、ウェルビーイングは重要なテーマとして扱われています。ウェルビーイングの概念は、個人が感じる幸福から社会や経済の全体像を再定義する方向へと広がっています。日本では、「新しい資本主義」を掲げ、経済的利益だけでなく人と地球を大切にする社会を目指す動きがあります。これは、企業や組織の戦略やビジネスアイデアにも影響を及ぼしています​​​​​​​​​​​​​​。

OECD「教育2030」とウェルビーイング

OECDのEducation2030プロジェクトは、2019年に「OECDラーニング・コンパス2030」を発表しました。このラーニング・コンパスは、教育の未来に向けた進化する学習の枠組みを提供し、個人および集団のウェルビーイングに向けた方向性を示しています。OECDはウェルビーイングを仕事、収入、住宅、ワーク・ライフ・バランス、教育、安全、生活満足度、健康、市民活動、環境、コミュニティの11の指標で整理しており、これらの要素がウェルビーイングの実現に寄与すると考えられています​​。

これらの背景から、ウェルビーイングへの取り組みは、個人の幸福感だけでなく、社会や経済全体の持続可能な発展に向けた重要な要素として位置づけられています。

ウェルビーイングがなぜ重要か

ではウェルビーイングを追及すると企業経営にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。背景には、少子高齢化による労働力不足や、働き手の価値観の変化があります。

高給与・高待遇を謳うだけでは採用は行き詰まる

人材市場では売り手市場が続いているように、若い働き手は年々減少しています。一方で、企業側の求人ニーズは高くなっており、需要と共有のバランスは均等を欠いた状況です。労働力をいかに確保するかは、企業にとって経営課題ともいえ、切実な人事施策でもあります。企業を選べる今、待遇などの条件だけでは人は魅力を感じず、採用活動は行き詰っています。

働くことは生きることそのものという価値観

働き手の価値観の多様化も指摘されています。この流れは日本だけでなく世界的なものです。従来の自己犠牲的な働き方は見直されつつあり、いかに自分らしく働ける環境を見つけていくのか、転職へのハードルの低さも相まって、会社が何を大事にしているのか、福利厚生やSDGS、健康経営の取り組みなどが仕事を選ぶ際の検討材料になっているのです。

ウェルビーイングは他社との差別化につながるだけでなく、人材の採用・定着を高める指標として存在感を増しています。

多様化する価値観の中で、自分らしく生きられる環境づくりが企業に求められる

企業がウェルビーイングに取り組む5つのメリット

ウェルビーイングは働き方改革、そして健康経営への取り組みに直結します。社員が心身ともに健康で満たされている状態を維持することで、企業には多くのメリットがあります。治療よりも、予防に投資をすることで、企業が負担する医療費が減少することで利益率が高くなるなどの好循環が生まれます。従業員がいきいきと働けるための健康管理を大事にすることで、従業員満足度が向上、エンゲージメントも向上し、企業としての魅力にもつながるのです。

健康経営に取り組む5つのメリット

1.生産性の向上
2.医療コストの削減
3.モチベーションの向上
4.リクルート効果
5.企業のイメージアップ

ウェルビーイングの取り組み事例

世界157か国に27万人のスタッフを擁する世界的な監査・コンサルティングファーム、PwCの日本ブランチ「PwC Japan」の事例を紹介します。

PwC Japan

PwC Japanでは、ウェルビーイングを、(1)Physical、 (2)Mental、 (3)Emotional、 (4)Spritualの4つの領域でとらえ、従業員が充実した仕事や生活ができるよう、各種施策や組織風土づくりを推進しています。

出典:PwC JAPAN

PwCの具体的な取り組み

健康維持・増進活動の推進 定期健康診断、予防接種や、ウェルビーイング研修、マッサージルームの設置
メンタルヘルス対策の推進 年1回のストレスチェックや、メンタルヘルス研修、相談窓口の設置、復帰支援プログラムの提供
長時間労働対策の推進 働き方改革として、残業時間のモニタリング、労務管理、社内のコミュニケーションルールの設定

ウェルビーイングの評価手法

目には見えない幸福度はどのような手法で評価されているのでしょうか。ウェルビーイングに関する調査で知られる、アメリカのギャラップ社は、世界140以上の国と地域で幸福度に関する大規模調査を行っています。同社が採用する評価軸が「体験」と「評価」です。

評価軸は「体験」と「評価」

評価は「体験」と「評価」の2つから構成されています。体験は5つのポジティブ体験と、5つのネガティブ体験をヒアリングします。評価は、自分の人生に対する自己評価を10段階で聞きます。2つの評価軸により、人は直近の体験に影響をうけやすいため、そうした印象がもたらすバイアスを取り除くのが目的だそうです。

出典:2021 Global Emotions report – Gallup

まとめ

従業員のウェルビーイングを大切にすることで、企業経営においても好循環を生み出すという考え方をご紹介しました。Googleは2012年から4年もの歳月をかけた調査を行い、チームの生産性を高めるために必要なものは、「高い能力を有した優秀なメンバーを集めること」ではなく、「どのようにチームが協力しているのか」という結論を「心理的安全性」という言葉とともに発表しました。従業員のウェルビーイング向上が、組織の生産性向上に重要な指標なのです。幸福度が高いとはいえないわが国において、ウェルビーイング経営は取り組みがいのあるテーマといえます。パフォーマンス向上に大きなインパクトが期待できるのではないでしょうか。

参考:「効果的なチームとは何か」を知る- Google

従業員満足度No.1 食の福利厚生「びずめし」

「びずめし」は、地域の飲食店を社員食堂として利用できるニューノーマル時代の福利厚生サービスです。実際にあった福利厚生でよかったと思うものとして「食堂、昼食補助」が1位という調査結果があります。従業員満足度の最も高い食の福利厚生を導入することで、会社へのエンゲージメントにも寄与する、三方よしの「びずめし」。ぜひ導入をご検討ください。

定期ウェブセミナーのご案内

個別で話を聞いてみたい、という企業・団体さまに向けた、「びずめし」ご紹介セミナーを下記開催いたします。 

「ニューノーマル時代の福利厚生、新しい社食サービス『びずめし』のご紹介」
・日時:隔週火曜
・講演概要:
 10:00~10:30、びずめしのご紹介
 10:30~11:30、個別相談会(※限定3社 申込順となります。)
・参加費 :無料
・参加方法:Zoomでのオンライン視聴

この記事をシェアする