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女性がいきいきと働く社会を作りたい!活躍する環境を整える福利厚生とは

働き方改革の中で、女性が活躍する社会を目指すための法整備などがおこなわれているものの、未だ企業における女性管理職の割合は低いままです。今回の記事では、働く女性を取り巻く現状を踏まえ、誰もが働きやすい環境を作るための方法として取り組みたい福利厚生についてご紹介します。

Contents

女性が働きやすい社会を目指して

結婚や出産といったライフイベントの変化により、正社員として働きたいのに働けない女性は約300万人いるといわれています。その中で、働き方改革や高齢社会による労働人口の減少に対する危機感など、さまざまな背景から女性の社会進出を目指した法律が整備されてきており、その一つが「女性活躍推進法」です。

「女性活躍推進法」は、仕事で活躍したいと希望するすべての女性が、個性や能力を発揮できる社会の実現を目指し、2015年に法律が成立しました。

これにより、「国・地方公共団体・常時雇用する労働者が301人以上の民間事業者」を対象に下記の取り組みが義務付けられ、300人以下の中小企業については努力義務となっています。

・自社の女性活躍に関する状況把握・課題分析

・課題を解決するための数値目標と取り組みを盛り込んだ、行動計画の策定および届出

・自社の女性活躍に関する情報の公表


女性管理職比率の到達目標

2003年、政府は男女共同参画の社会実現に向けて、「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%まで到達させる」という目標を掲げていました。

しかし、厚生労働省が発表した「令和2年度雇用均等基本調査」によると、女性管理職比率は12.4%と、目標にはほど遠い結果となりました。その後、目標の達成年限を「2020年」から「20年代の可能な限り早期」とする方針を示し、先送りする形となっています。

働く女性を取り巻く現状

2021年3月にエン・ジャパン株式会社が発表した「企業の女性活躍推進」実態調査2021によると、「貴社では女性社員の活躍・定着に取り組んでいますか?」という問いに対して、取り組んでいる企業が2018年の52%に対し、2021年では41%となり、11ポイント減少しています。

一方、「特に意識していない」企業は、34%から44%に増えています。

こうした意識の変化は、2021年6月に「改正育児・介護休業法」が成立し、男性の育児休暇取得率の向上を目指していることや、「育児は女性だけの役割」という考え方から変わっていること、「素養があれば、昇進に性差は関係ない」といった意見が上がることから、従業員の活躍を推進する上で「女性」であることを意識しない企業も増えてきているようです。

「女性社員の活躍・定着に対して、課題と感じられることはありますか?」という問いには、社内にロールモデルがいない(少ない)こと、女性社員の意識、勤務時間、仕事内容、経営層・管理職の意識といった理由が挙げられています。

女性管理職の声

では、実際に女性管理職として活躍している女性の声を聴いてみましょう。

株式会社mogが2021年におこなった、女性管理職100人に管理職に関する意識調査「女性管理職白書2021」において、実際に管理職となっている女性たちに、もともと管理職になる意向があったかを聞いたところ、管理職への意向が低かった人が53%と半数以上を占める結果でした。

その理由として、「プレイヤーでやりがいのある仕事がしたい」「ワーママ管理職のロールモデルがいないので未来像が描けない」など、管理職という仕事に魅力を感じていない、漠然と自信がなかった、などの意見が目立ちました。

一方、管理職になった流れとして、半数以上が上司からの推薦を受けて管理職に就任していました。

管理職になるつもりはなかったものの、実際に管理職になっている人が半数以上いることや、上司からの推薦を受けて管理職に就任していることから、女性の活躍には上司の働きかけや福利厚生を含めた環境整備が重要だと言えるでしょう。

また、今後女性管理職を増やす・定着させるために企業に期待することについての問いでは、「モチベーションを損なわない仕組み」「管理職の魅力の発信」「働き方の整備」など、さまざまな意見が挙げられました。中でも、役員など上位層の男性比率が高いと男性視点に偏る傾向になるため、「もっと女性役員を増やすべき」という声も上がっています。

誰もが働きやすい環境のために整備したい福利厚生

「モチベーションを損なわない仕組み」や「働き方の整備」は、具体的にどのようなものを取り入れればよいのでしょうか。福利厚生に焦点を当ててご紹介します。

①妊娠・出産・子育て支援

「育児休暇」や「時短勤務」など、出産や育児をサポートする福利厚生を導入している企業が多くなってきています。

他の支援策として、子どもの急な発熱で休まなくてはならなくなった際に「看護休暇」の取得や、医療相談ができる制度などがあると心強いでしょう。

②代行サービス

料理や掃除などの「家事代行サービス」や、食材やお水などを自宅に届けてくれる「宅配サービス」は、繁忙期や子育てなどで忙しく、時間が足りないときに嬉しい福利厚生です。

定期的に料理や掃除などを代行してくれることで家事ストレスから解放され、自分の時間や家族と過ごす時間を作ることができ、従業員の心身の健康を支えることにもつながります。

③働き方・休暇

育児と労働の両立のためには、子どもを職場に連れて行けたり、職場内の託児所に預けたりできる「子連れ出勤」や、出産を機に退職した人の再雇用を促す「カムバック制度」など、さまざまな働き方の選択肢があることも重要な要素です。また、最近では「テレワーク」を実施できるかどうかも、仕事を選ぶ際のポイントとして上位に挙がってきています。

休暇制度としては、「リフレッシュ休暇」「アニバーサリー休暇」「生理休暇」など、特別な休暇を設けることで、自然と休みを取りやすくする仕組みを作る企業もあります。

④健康関連

健康経営を進める動きが活発になる中、従業員の運動や食事をサポートする福利厚生も高い人気があります。

また、従業員の心身のリフレッシュを目的に、美容院やネイル、整体など、美容に関する福利厚生にも注目が集まってきています。

⑤住宅・通勤関連

「住宅手当」や「家賃補助」、「通勤手当」などが設けられているかについても、仕事を選ぶ上で重要な項目です。

最近ではテレワークの実施が進み、通勤する必要がなくなった代わりに自宅の通信費がかかることから、「テレワーク手当」を導入する企業も増えてきています。

⑥スキルアップ支援

今後のキャリアアップやスキルアップを支援するため、参考書の購入費用の補助や、講座・セミナー・通信教育の参加費補助など、企業が全額または一部負担する福利厚生もあります。

また、資格取得を積極的に推進する企業では、取得した資格に応じた手当の支給などもおこなっています。

まとめ

福利厚生を整えることは、企業の離職率の低下や業務効率化の他、従業員の心身の健康の維持など多くのメリットがあります。女性だけでなく、従業員がいきいきと働く社会を作るためには、従業員の要望を吸い上げ、社内全体で理解を深める必要があります。

また制度を整えるだけでなく、従業員が望む働き方を会社に対して進言できる環境があり、利用できる制度にしていくことも大切です。

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