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バーンアウト(燃え尽き症候群)に悩むテレワーカーをサポートする5つの施策

新型コロナウイルス感染症対策により、テレワーク・リモートワークを取り入れる企業が増加。今後は、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド型と呼ばれる働き方が主流になりつつあります。そうした中、テレワークによるバーンアウト(燃え尽き症候群)が新たな健康課題として浮上しています。従業員の健康を維持し、生産性向上を目指す健康経営を行う上でどんな健康管理施策が打てるでしょうか。バーンアウトが起こる背景と、予防に役立つ5つの施策をご紹介します。

Contents

心配すべきは「さぼり」ではない

東京五輪に向けてテレワークを試行していた一部の企業を除いて、コロナ禍によるテレワークは多くの企業と社員にとって経験のない中で試行錯誤しながらの取り組みとなりました。実際にテレワークを行ってみて、感じていることはテレワークでも業務遂行に大きな支障はない、ということではないでしょうか。Zoom、Microsoft Teamsなどのオンライン会議ツールや、ChatWorkやSlackなどのメッセージングアプリを駆使することで、社員同士が離れた場所にいても業務を行うことができています。

人材確保や経費削減、通勤時間や疲労を軽減するなど利点もあるテレワーク。コロナ後もテレワークを続けることを望んでいる社員が多いというアンケート結果がある一方で、新たな課題となっているのが働きすぎによるバーンアウト(燃え尽き症候群)です。オムロンヘルスケアが20代から50代のテレワークをしている男女1,000人を対象に行ったアンケート調査によると、テレワーク開始後、31%の人が身体の不調を感じており、不調の1位は、女性は「肩こり」、男性は「精神的なストレス」という結果がでています。

出典:オムロンヘルスケア 【テレワークとなった働き世代1,000人へ緊急アンケート】

なぜバーンアウトがおこるのか

ひとつには、仕事とプライベートとの境目があいまいになっていることが挙げられます。通勤による物理的な移動や、制服やオフィス用の服装など仕事モードになることで、人は仕事と仕事外の時間を切り替えています。テレワークでは、自宅という小さな空間で、家事や雑事、育児など、常にプライベートからの影響を受けています。完全に仕事と私生活を分ける、ということが難しいのです。

また、カオナビの行った調査によると、テレワーク中の対象者300人のうち、7割が不安を感じており、具体的に不安に思うこととして、以下のような結果が上位を占めています。

  • 自分の仕事の質や生産性が落ちているのではないか 27.0%
  • 部署、チーム、組織として、成果や提供価値の質が落ちているのではないか 23.7%
  • 自分がさぼっていると、周りに思われている 22.3%

さぼっていると思われたくなくて働きすぎる

仕事時間が決まっていても、携帯には常時通知が入り、仕事を切り分けることは難しい状況にあります。たとえ勤務時間外にきたメールであっても、着信を知ると「常に対応しなくてはいけない」「仕事をしているアピールをしなければ」という精神的なプレッシャーを感じ、それがストレスとなります。「生産性をあげなければ」「さぼっていると思われないようにしなければ」と働いた結果、仕事の区切りをつけることができなくなり、メンタルヘルスの不調を引き起こすと考えられています。

出典:カオナビ「リモートワークで生まれた余裕と不安~リモートワーク実態フォロー調査レポート2~」

バーンアウトを予防する5つの施策

バーンアウトに陥っている社員をどのようにサポートしていくのか。健康経営の新たなテーマです。社員の心の悩みが急増すると、生産性は低下し、経営としてのリスクにつながります。重要なポイントは、予防です。「病気を治す」ではなく「病気にさせない」、健康を維持するサポートや取り組みを先回りして実施することが、効果的です。ではどのような施策が有効なのでしょうか。

①業務量を適正に・目標を明確に

まずは、リモートワークは生産性が下がる、といったイメージを払拭しましょう。やるべき業務を本人と上司、会社側が合意していれば、リモートワークによって生産性が下がった、という事象はおきません。スケジュールやタスクが適正化されれば、本人が集中して取り組むことができます。予定よりも早く仕上がれば、仕事の生産性は上がったといえます。

業務の達成感は自信につながる

「やるべきこと」を明確にし、社員に自信をもって仕事に取り組んでもらうことが重要です。具体的には、仕事量を確認するために1日1回、または1週間に1回の報告をスケジュールに組み込み、定期的に上司やチームと話せる機会をつくっておきます。話ができる場を設けることで、さまざまな相談にも乗ることができ、悩みを抱えてしまうことを予防します。

労務管理を行う

出勤・退勤の時間を確認し、早朝作業や残業時間が多くなっていないか、労務管理を行うことも基本です。ハイブリッド型であれば、オフィスに出社しているときと、テレワークしているときの差があるかどうか、なども着目点です。悩みを抱えている社員は、なかなか自分から声をあげることはありません。気になるような働き方になっていないか、を会社として管理しましょう。

コミュニケーションのルールを決める

ミーティングや情報共有の頻度や方法を決めておくことも有効です。「オンライン会議ツールで短時間の朝礼を行う」「週1回のチームミーティングはオンライン会議ツールで、それ以外の連絡はチャットツールを利用する」「勤務時間外のメール連絡をしない」「状況に応じてチャットツールのステータスを変更する」などのコミュニケーションルールを定め、メンバー内で共通認識をもっておくことです。

モバイル機器の通知が24時間いつでもつきまとう

ワークライフバランスを推奨する

長時間勤務を賛美する高度経済成長期の文化がわが国には根強くあります。ワークライフバランスとは、仕事とプライベートを両立させ、家族との時間や趣味を楽しむ、「仕事と生活の調和」を重んじる考え方です。働き方が多様化するなか、健全なワークライフバランスを維持することが、仕事への集中力も高めていくと言われています。有給休暇取得の推奨や、プライベートの充実など、リーダーが率先して行動していくことが効果的です。

オンラインで交流できる場を設ける

オフィスは仕事をするだけでなく、社員の社交の場でもあります。メンバーと雑談したり、行事・部活動などを通じて広く社員同士が交流をもつことで、組織への帰属意識が培われていたといえます。オンライン会議では必要な事柄しかやり取りされないので、テレワークになって情報にアクセスできない、チームワークが減少したと感じる人が多くいます。一度でもオンラインでの飲み会やイベントを実際に行ったことがあれば、そこにプラスの効果を感じているのではないでしょうか。もっとも簡単なのは、ミーティングの冒頭にメンバーの近況報告をする時間を設ける方法です。リモートワークにつきものの孤独感を和らげることができるでしょう。

多少わざとらしくとも、 社員にとってリフレッシュや交流の場として効果のあるオンライン飲み会

まとめ

テレワークには、さまざまな問題がついてまわります。世界的にも、これほど多くの人が突然テレワークを強いられるような状況になるとは、誰も予見していませんでいた。経験したことのない状況下で、がんばりすぎる社員が心身ともに疲弊してしまわないようにするためには、会社側のサポートが欠かせません。大きなコストをかけずとも実践できる施策をご紹介しました。参考になれば幸いです。

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