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従業員満足度を測るES調査とは?人事戦略にも活かせる調査方法

人事部門や経営層にとって、従業員が自社に満足しているかどうかは大変気になる部分でしょう。従業員満足度調査(ES調査)は、従業員の不満や自社の強みを知るだけでなく、離職率の低下などの人事戦略や、サービス向上を狙う経営戦略にも活かすことができます。

今回の記事では、従業員満足度がなぜ重要視されているのか、企業運営に与える影響は何か、調査を実施するメリットについてご紹介します。

従業員満足度調査(ES調査)とは

従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)とは、従業員が組織で働く中での働きやすさや満足感の度合いのことを指します。この従業員満足度は、経営ビジョンや仕事内容、労働環境、福利厚生、報酬、社内の人間関係など、さまざまな要因から構成されています。

「ES調査」は、従業員が企業に対して好意的な感情を持っているのか、どんなモチベーションで働いているかなどの満足度を、定量的に数値化し計測するための調査として、注目を集めています。

企業がES調査を重要視する理由

少子高齢化による生産労働人口の減少や、雇用の流動化などが進む中、企業にとって「人材の確保」は重要な項目となっています。今後IT技術が革新的に進み、AIが仕事をする世界になったとしても、「人材」の力は欠かせません。また、近年の労働環境の多様化や、働き手の価値観の変化により、企業と従業員の関係性は対等に近づいてきています。

人口が減っていく中、自社で働いてほしい人材を確保するためには、流出する要因を突き止めて改善する必要があります。その要因を知るためのひとつの方法が「ES調査」です。

従業員満足度が企業運営に与える影響

従業員満足度が低い、つまり会社に対して何らかの不満がある場合、企業にどのような影響があるでしょうか。

  • 従業員の仕事へのモチベーションが低下する
  • 顧客満足度が上がらない
  • 離職率が高くなる

長時間働いても給料が上がらない、評価されないといった不満がたまっていくと、仕事に対するモチベーションは上がりません。すると、顧客に対して十分なサービスを提供できなくなったり、離職によって担当者が頻繁に変わることで信頼を失ったり、不祥事が発生したりする可能性が出てきます。

また、自社に満足していないことから 離職者が増え、転職者の紹介採用にもつながらず、採用サイトなどでネガティブな書き込みが増えることで、新入社員や転職者が企業に対して悪いイメージを持ち、さらに人材が集まらなくなるという負のサイクルに陥る可能性も高まります。

不祥事を起こす企業・起こさない企業の特徴

2021年3月に株式会社リンクアンドモチベーションが調査した「従業員エンゲージメントとコンプライアンスの関係」において、従業員満足度と不祥事に関する企業の特徴をまとめています。

不祥事が起こる可能性が低い企業

  • 従業員一人ひとりが会社の一員であることを自覚できている
  • 自社の事業に優位性を感じることで、顧客の期待を上回る提案や対応ができる
  • 新たな提案などをおこなえる開かれた組織風土を持つ

不祥事が起こる可能性が高い企業

  • 話題性や知名度があり社会的な影響力が大きく、基盤の安定を想起させる企業
  • 教育支援制度は充実しているものの、日頃から責任ある仕事を任せるなどの部下の自立に向けた育成が十分でない

従業員満足度と顧客満足度の関係性

ハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、顧客満足についての権威であるジェームス・L・ヘスケット他の著書「カスタマー・ロイヤルティの経営」の中で、「ES(従業員満足)とCS(顧客満足)との間に、99%の因果関係が認められた」と述べられています。

また、厚生労働省が2015年におこなった調査によると、「従業員と顧客満足度の両方を重視する」という経営方針を持つ企業は、「顧客満足度のみを重視する」という企業と比べ、「売上高営業利益率」「売上高」ともに「増加傾向にある」と回答する割合が高くなっています。

さらに人材確保に関しても、「量(人数)・質ともに確保できている」とする割合が高くなっています。

まず従業員が企業に対して満足感を得ることにより、顧客に対するサービスの質が向上し、結果的に売り上げや人材確保にもつながることを表しています。

従業員満足度調査を実施するメリット

ES調査を実施することには多くのメリットがあります。

従業員の生の声を聴くことができる

ES調査を実施することで、従業員が普段感じていることや抱えている悩みを、深く掘り下げて知ることができます。

実施方法としては、従業員にとって答えやすく本音が出やすいアンケート形式で実施されることも多く、またウェブ上でおこなえば遠く離れた場所で働く従業員の声も拾うことができるようになります。

定量的なデータを元に判断ができる

従業員の満足度を数値化し、データで判断ができるようになります。

例えば、自社で採用している福利厚生の利用率や満足度を数値化した結果が低いのであれば、「住宅補助」「食事補助」「休暇制度」など、実際に従業員が求めている福利厚生を充実させる根拠になります。

感覚や思い付きで判断することがなくなり、よりよい経営判断ができるようになります。

自社の強み・弱みを知り、経営・人事戦略に活かせる

例えば、「従業員に経営ビジョンが浸透している」「仕事に対して高いモチベーションを持っている」など、改めて自社の強みを知ることができる一方、「実は経営層と現場で感じていることが異なっていた」「上司に気軽に相談できる雰囲気ではない」「人事考課に不満を持っている人が多い」など、普段は知り得なかった結果が出る可能性もあります。

自社で伸ばすべき部分や、改善すべきポイントを洗い出すことで、従業員満足度を向上させるチャンスにつながります。

まとめ

ES調査は、従業員の満足度を向上させるためにおこないます。調査の目的として、「人事制度を見直すため」「離職率が高い原因を探るため」など、具体的に何を知りたいのかをはっきりさせておこなうことが大切です。そして、調査を実施して終わりではなく、結果をもとによりよい制度や環境を整えるために分析し、改善を進める必要があります。

次回は、ES調査を実際におこなうための実施方法や注意点について解説します。

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