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福利厚生費としての飲食費|対象範囲と認められる条件を解説

会社の飲食費を経費にしたいけれど、福利厚生費として認められるかお悩みではありませんか?本記事では、飲食費を福利厚生費として計上するための3つの条件を具体的に解説します。結論として、全従業員を対象とし、社会通念上妥当な金額であれば経費計上が可能です。ランチ代補助や忘年会などシーン別の判断基準から、交際費や給与との違い、注意点まで網羅的に解説するため、正しく経費化し節税につなげる知識が身につきます。

Contents

福利厚生費とは 飲食費を経費にする基本

企業の経費の中でも、従業員の飲食に関わる費用は「福利厚生費」として計上できる場合があります。福利厚生費とは、給与や賞与以外で、従業員の満足度向上や労働環境の改善、勤労意欲の向上などを目的として、全従業員に公平に支出される費用のことです。社会保険料などの「法定福利費」とは異なり、飲食費は企業が任意で設ける「法定外福利費」に分類されます。

飲食費を福利厚生費として経費計上する最大のメリットは、会社と従業員の双方にあります。会社側にとっては、福利厚生費は損金として算入できるため、法人税額を抑える節税効果が期待できます。一方、従業員にとっては、福利厚生として提供された飲食は原則として給与所得に該当せず、所得税や住民税が課税されないという利点があります。つまり、従業員は実質的な手取りを減らすことなく、会社からの恩恵を受けられるのです。

ただし、どのような飲食費でも福利厚生費として認められるわけではありません。税務調査などで指摘を受けないためには、その支出が「従業員への慰安」を目的とし、「全従業員を対象」としており、「社会通念上、妥当な金額」であるといった、国税庁が示す要件を正しく理解し、満たすことが不可欠です。この基本原則を外れてしまうと、交際費や給与として扱われ、課税対象となる可能性があるため注意が必要です。

飲食費が福利厚生費として認められる3つの条件

会社の飲食費を福利厚生費として経費計上するためには、税法上の要件を正しく理解し、それを満たす必要があります。もし要件から外れてしまうと、税務調査で「交際費」や「給与」として指摘され、追徴課税の対象となるリスクがあります。

ここでは、飲食費が福利厚生費として認められるためにクリアすべき、最も重要な3つの条件について詳しく解説します。これらのポイントを押さえることが、適切な経費処理の第一歩です。

条件1 全従業員が対象であること

福利厚生費の最も基本的な考え方は、全従業員に対して公平に機会が提供されていることです。特定の役員や部署、成績優秀者といった一部の従業員だけを対象とした飲食は、原則として福利厚生費には認められません。例えば、役員だけで行う食事会や、特定のプロジェクトチームの成功を祝うための打ち上げなどは、交際費や給与として扱われる可能性が高くなります。

ここでいう「全従業員」とは、正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトなど、雇用形態にかかわらず、その会社で働くすべての人を指します。もちろん、全員が強制参加である必要はありません。業務の都合や個人の事情で参加できない人がいても、希望すれば誰でも参加できる状態であることが重要です。この「機会の均等」という原則が、福利厚生の本来の目的である従業員全体の慰安や士気の向上につながるという考えに基づいています。

条件2 金額が社会通念上妥当であること

福利厚生費として認められる飲食費には、法律で「〇〇円まで」といった明確な上限金額が定められているわけではありません。しかし、その金額が「社会通念上、妥当な範囲」であることが求められます。これは、常識的に考えてあまりにも高額・豪華な飲食は、福利厚生の目的を逸脱していると見なされるためです。

例えば、忘年会で一人あたり5,000円程度の一般的な居酒屋を利用する場合は問題ありませんが、一人あたり5万円もするような高級レストランや料亭での食事となると、税務調査で否認されるリスクが非常に高まります。この「社会通念上」という基準は、企業の規模や業種、地域性によって多少の変動はありますが、従業員の慰安として常識的な金額かどうかが判断の分かれ目となります。福利厚生費として計上する際は、客観的に見て過度に贅沢だと捉えられない金額に収めることが賢明です。

条件3 福利厚生目的の飲食であること

飲食の目的が、従業員の労働意欲の向上やリフレッシュ、社内の一体感を醸成するといった福利厚生の趣旨に沿っていることが必須条件です。具体的には、忘年会や新年会、歓送迎会、創立記念パーティー、社員旅行中の食事会など、社内行事の一環として行われる飲食がこれに該当します。これらの行事は、従業員同士のコミュニケーションを円滑にし、組織全体の士気を高めるという明確な福利厚生目的があるためです。

一方で、同じ飲食であっても、取引先や仕入先など、社外の事業関係者を接待・慰安するためのものであれば、その目的から「交際費」として処理しなければなりません。また、業務上の打ち合わせを兼ねた食事であれば「会議費」に該当します。このように、誰と、何のために飲食を行ったのかという「目的」によって、会計上の勘定科目が変わることを正確に理解しておく必要があります。

飲食費が福利厚生費にならないケース 交際費や給与との違い

従業員のための飲食費であっても、福利厚生費の条件を満たさない場合は他の勘定科目で処理する必要があります。代表的なものが「交際費」「会議費」「給与」です。これらの区分を誤ると、税務調査で指摘を受け、追徴課税が発生するリスクがあります。それぞれの費用の性質を正しく理解し、適切に経費計上することが重要です。ここでは、福利厚生費と混同しやすい各勘定科目の違いと、どのような場合にどの科目に該当するのかを具体的に解説します。

交際費と判断される飲食

交際費とは、得意先や仕入先といった事業に関係のある社外の者に対して、接待や供応、慰安、贈答などのために支出する費用を指します。福利厚生費が「全従業員」を対象とした社内向けの費用であるのに対し、交際費は主に「社外」の取引先などが対象となる点が大きな違いです。例えば、取引先との会食や接待ゴルフ後の食事代は、典型的な交際費に該当します。また、特定の役員や部署のメンバーだけで行われる高額な飲食も、社内交際費とみなされる可能性があります。

たとえ忘年会という名目であっても、主たる目的が取引先の接待であれば、その費用は福利厚生費ではなく交際費として処理すべきです。交際費は税法上、損金に算入できる金額に上限が設けられているため、全額損金算入が可能な福利厚生費とは税務上の扱いが大きく異なります。

会議費と判断される飲食

会議費は、業務の遂行上必要な会議や打ち合わせに付随して発生する飲食費用のことです。福利厚生費の目的が「従業員の勤労意欲の向上や慰安」であるのに対し、会議費はあくまで「業務上の会議」が主目的である点が異なります。具体的には、会議中に出されるお茶やお菓子、昼食として提供される弁当などが該当します。重要なのは、飲食がメインではなく、会議が主体であるという実態です。そのため、会議の議題や参加者、日時などを記録した議事録を保管しておくことが望ましいでしょう。居酒屋などでの飲食であっても、業務に関する打ち合わせが実質的に行われていれば会議費として認められる可能性はありますが、アルコールが中心となるような場合は交際費と判断されるリスクが高まります。なお、会議費は福利厚生費と同様に全額を損金として算入できます。

給与として課税対象になる飲食

福利厚生費の条件を満たさず、かつ交際費や会議費にもあたらない飲食費は、従業員への「給与」として扱われる可能性があります。給与と判断された場合、その費用は従業員の所得に加算され、所得税や住民税の課税対象となります。会社側も源泉徴収義務が発生し、社会保険料の算定基礎にも含まれるため、会社・従業員双方の負担が増加します。

例えば、忘年会や新年会に不参加だった従業員に対し、参加費に相当する現金を支給した場合、その現金は給与として扱われます。また、特定の役員や従業員だけを対象とした食事会や、社会通念上あまりに高額な飲食の提供も、現物給与とみなされるリスクが高いでしょう。福利厚生費は非課税の恩恵を受けられる制度であるため、給与と判断されないよう、その適用条件を厳密に守る必要があります。

【シーン別】この飲食費は福利厚生費にできる?

福利厚生費として飲食費を計上できるかどうかは、具体的なシーンによって判断が分かれます。ここでは、企業活動でよくある飲食の場面を取り上げ、それぞれ福利厚生費として認められるためのポイントや注意点を詳しく解説します。

ランチや食事補助の費用

従業員のランチ代を補助する「食事補助」は、多くの企業で導入されている人気の福利厚生です。この食事補助を福利厚生費として非課税で処理するためには、国税庁が定める2つの要件を両方満たす必要があります。この要件は、社員食堂、仕出し弁当、外部の食事サービスなど、提供形態にかかわらず適用される重要な基準です。要件を満たさない場合、補助した金額は給与として扱われ、従業員の所得税や社会保険料の負担が増える可能性があるため、正確な理解が不可欠です。

社員食堂での食事提供

社員食堂での食事提供は、福利厚生の代表的な例です。会社が運営する食堂で、従業員に安価で食事を提供する場合、以下の2つの条件を満たせば、会社負担分を福利厚生費として計上でき、従業員側も給与として課税されません。

  • 従業員が食事価額の50%以上を負担していること
  • 会社の負担額が1ヶ月あたり3,500円(税抜)以下であること

例えば、1食600円の定食を従業員が300円負担すれば、両方の条件を満たします。しかし、会社が全額を負担して無料で提供する場合、その食事の価額全額が給与として課税対象となるため注意が必要です。

食事代の現金支給

昼食手当などの名目で食事代を現金で支給する場合、その金額は原則として給与とみなされ、所得税の課税対象となります。これは、支給された現金の使い道を会社が管理できず、従業員が食事以外の用途に使うことも可能であるためです。福利厚生費の非課税要件は、あくまで「食事の現物支給」を前提としています。ただし、深夜勤務者で、夜食の現物支給が困難な場合に限り、1食あたり300円(税抜)以下の金額を現金で支給する場合は、例外的に非課税として扱われることがあります。

仕出し弁当の提供

会社が契約した業者から仕出し弁当を取り、従業員に提供する場合の扱いは、基本的に社員食堂と同じです。つまり、従業員が弁当代の半額以上を負担し、かつ会社の負担額が月3,500円(税抜)以下であれば、その会社負担分は福利厚生費として認められます。この条件を満たせば、従業員にとっても非課税のメリットがあります。もし、会社が弁当代を全額負担したり、会社の負担額が月3,500円を超えたりした場合は、補助した金額の全額が給与として扱われることになります。

社内の飲み会(忘年会・新年会など)

忘年会や新年会、歓送迎会といった社内全体の飲み会の費用は、福利厚生費として認められる可能性が高いです。ただし、そのためにはいくつかの条件を満たす必要があります。まず、全従業員を対象とし、希望すれば誰でも参加できる機会が提供されていることが重要です。特定の部署や役職者だけを対象とした飲み会は、福利厚生ではなく「交際費」と判断される可能性が高くなります。また、費用が社会通念上、常識的な範囲内であることも求められます。一次会で終わるような一般的な宴会費用は認められやすいですが、あまりに高額な場合や二次会以降の費用は、福利厚生費として認められないケースがあるため注意しましょう。

残業時の食事代

従業員が残業や宿日直を行う際に、会社が提供する食事代は福利厚生費として計上できます。これは、業務を遂行する上で必要となる食事とみなされるためです。この場合、ランチの食事補助のような従業員の負担や月額の上限は定められていません。ただし、常識の範囲を超えるような高額な食事は認められない可能性があります。

最も重要な注意点は、残業代の代わりに食事代として現金を支給することは、給与課税の対象になるという点です。福利厚生費として処理するためには、会社が弁当を現物支給するか、飲食店に会社名義で直接支払いを行うといった形をとる必要があります。

社員旅行中の飲食費

社員旅行中に発生する飲食費は、その旅行自体が福利厚生として認められる条件を満たしている場合に限り、旅行費用の一部として福利厚生費に含めることができます。社員旅行が福利厚生費となるための主な要件は以下の通りです。

  • 旅行期間が4泊5日以内であること
  • 全従業員の50%以上が参加していること
  • 会社の負担額が社会通念上妥当な金額(一般的に1人あたり10万円程度が目安)であること

これらの要件を満たす慰安旅行の行程に組み込まれている食事であれば、福利厚生費として処理可能です。しかし、役員だけで行く旅行や、参加率が著しく低い旅行の場合、その費用は給与や交際費として扱われるため、飲食費も福利厚生費にはなりません。

社内イベントでの飲食提供

創立記念パーティー、運動会、キックオフミーティングなど、従業員の一体感醸成やモチベーション向上を目的とした社内イベントで提供される飲食費も、福利厚生費として計上できます。ここでも基本原則は同じで、全従業員を対象としたイベントであり、提供される飲食物の費用が社会通念上妥当な範囲内であることが条件です。例えば、イベント中に提供される軽食やお弁当、ソフトドリンクなどが該当します。特定の従業員だけが参加する打ち上げや、業務とは関係のない個人的な集まりの費用は、福利厚生費ではなく交際費や個人の負担となります。

福利厚生費として飲食費を計上する際の注意点

飲食費を福利厚生費として正しく経費計上するためには、いくつかの重要な注意点があります。もし処理を誤ると、税務調査で否認され、追徴課税が発生するリスクも考えられます。ここでは、福利厚生費として飲食費を扱う上で、特に押さえておくべき2つのポイントを具体的に解説します。

証拠書類を必ず保管する

飲食費が福利厚生費の要件を満たしていることを客観的に証明するためには、関連する証拠書類の保管が不可欠です。税務調査が入った際に、これらの書類がなければ福利厚生費として認められない可能性があります。保管すべき書類の代表例は、日付、金額、支払先、参加人数、但し書きが明記された領収書やレシートです。さらに、福利厚生目的の飲食であったことを証明するために、開催案内や参加者名簿もあわせて保管することが重要です。

例えば、忘年会の案内メールや出欠確認のリスト、社内イベントの告知などが該当します。これらの書類を整理して保管することで、その支出が特定の役員や取引先のためではなく、全従業員を対象とした公正な福利厚生の一環であったことを明確に示せます。法人税法では、帳簿書類は原則として7年間の保存が義務付けられていますので、期間を遵守して適切に管理しましょう。

不参加者への現金支給は給与扱い

会社の忘年会や新年会といったイベントに参加できなかった従業員に対し、その費用相当額を現金で支給するケースがあります。しかし、この現金支給は福利厚生費としては認められません。福利厚生は、あくまで全従業員に「機会」を平等に提供するという考え方が基本です。そのため、不参加者への現金支給は、福利厚生の機会提供ではなく、従業員への経済的利益の供与とみなされ、「給与」として扱われます

給与として扱われる場合、会社は源泉徴収を行う義務が生じ、従業員にとっては所得税および住民税の課税対象となります。また、社会保険料の算定基礎にも含まれるため注意が必要です。福利厚生の公平性を保つために金銭を支給したい場合は、福利厚生費ではなく「給与手当」として経理処理を行い、源泉徴収を忘れないようにしてください。あくまで飲食という「現物支給」の機会提供であることが、福利厚生費の前提となります。

まとめ

飲食費を福利厚生費として経費計上するには、「全従業員が対象」「社会通念上妥当な金額」「福利厚生目的」という3つの条件をすべて満たす必要があります。特定の役員や部署だけを対象とした飲食は交際費と見なされ、高額すぎる場合は従業員の給与として課税される可能性があるため、明確な線引きが不可欠です。

忘年会や社員食堂の補助など、多くのケースで福利厚生費として認められますが、残業時の食事代のように一定の要件を満たす必要があるものも存在します。税務調査に備え、開催案内や参加者名簿、領収書といった証拠書類を必ず保管しておきましょう。

これらのルールを正しく理解し運用することは、単なる節税対策に留まりません。従業員の満足度を高め、社内のコミュニケーションを活性化させるための重要な投資です。この記事を参考に自社の福利厚生制度を見直し、従業員がより意欲的に働ける魅力的な職場環境づくりに繋げていきましょう。

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