従業員の会社への愛着度を測る指標、eNPS(従業員推奨度)。何となく聞いたことはあるけれど、詳しい意味や活用方法、自社への導入メリットがよく分からない…と感じていませんか?
この記事では、eNPSの基礎から具体的な活用方法、導入時の注意点までを網羅的に解説します。eNPSを理解することで、社員満足度向上、ひいては企業の成長に繋がる重要な示唆を得ることができます。具体的には、eNPSの算出方法やスコアの見方、効果的なアンケート設計、そして結果に基づいた具体的なアクションプランの立案方法などを分かりやすく説明。さらに、リクルートや社内コミュニケーション、企業文化醸成といった場面でのeNPS活用事例も紹介します。
人事担当者や経営者の方々にとって、eNPSは従業員の定着率向上、生産性向上、そして企業価値向上に繋がる強力なツールとなる可能性を秘めています。この記事を読み終える頃には、eNPSを自社でどのように活用できるか、具体的なイメージが湧いているはずです。そして、従業員エンゲージメントを高め、活力ある組織づくりへの第一歩を踏み出すことができるでしょう。日本企業の成功事例も交えながら解説するので、ぜひ最後までお読みください。
Contents
eNPSの概要
eNPS(Employee Net Promoter Score)とは、従業員が自社をどれくらい推奨したいと考えているかを数値化した指標です。顧客満足度を測る指標であるNPSを従業員向けに応用したもので、従業員エンゲージメントや企業の成長を測る上で重要な指標として注目されています。0~10点で評価してもらい、9点、10点を付けた従業員を「推奨者」、7点、8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類します。
eNPSの概要と目的
eNPSは、従業員に「あなたは今の会社を友人や家族にどれくらい勧めたいと思いますか?」という質問への回答を元に算出されます。このシンプルな質問を通して、従業員の会社に対するロイヤルティや愛着度を測ることが目的です。eNPSは、従業員満足度調査のように多岐にわたる質問項目を設ける必要がなく、短時間で簡単に実施できるというメリットがあります。従業員の率直な感情を捉え、企業文化や職場環境の改善に繋げるための効果的なツールとして活用されています。
eNPSが企業に与える影響
eNPSが高い企業は、従業員エンゲージメントが高く、生産性や収益性も高い傾向にあります。また、離職率が低く、優秀な人材の確保にも有利です。反対に、eNPSが低い企業は、従業員満足度が低く、離職率が高い傾向にあります。離職による採用コストの増加や、ノウハウの流出といったリスクも抱えています。eNPSを計測することで、企業は自社の強みと弱みを把握し、改善策を講じることが可能になります。
eNPSと従業員エンゲージメントの関係
eNPSと従業員エンゲージメントは密接に関連しています。従業員エンゲージメントとは、従業員が仕事に対してどれくらい熱意や愛着を持っているかを表す概念です。eNPSが高い企業は、従業員エンゲージメントも高い傾向にあります。従業員が会社を推奨したいと感じるのは、仕事にやりがいを感じ、会社に貢献したいという意欲を持っているからです。eNPSを高めるためには、従業員エンゲージメントを高める施策が重要となります。下記の表にeNPS、従業員エンゲージメント、離職率の関係性をまとめました。
eNPS | 従業員エンゲージメント | 離職率 |
---|---|---|
高 | 高 | 低 |
低 | 低 | 高 |
eNPSは従業員エンゲージメントを測る指標の一つとして活用できます。従業員エンゲージメントを高めることで、eNPS向上に繋がることが期待できます。
eNPSが重要な理由
eNPSは、単なる数値指標ではなく、企業の成長と成功に深く関わる重要な要素です。従業員満足度、離職率、企業文化など、多岐にわたる側面に影響を与え、持続的な発展を目指す上で欠かせないツールと言えるでしょう。
社員満足度と企業の成功との関係
社員満足度の向上は、企業の成功に直結する重要な要素です。eNPSを通じて社員の声を収集し、改善に繋げることで、社員のモチベーション向上、生産性向上、そして顧客満足度向上に繋がります。社員が企業に誇りを持って働いている状態は、企業イメージの向上にも大きく貢献し、優秀な人材の確保にも繋がります。また、高い社員満足度は、企業の成長を支える原動力となり、市場競争力を高める上でも重要な役割を果たします。
離職率低下に繋がる効果
eNPSを活用することで、従業員の不満や課題を早期に発見し、離職率の低下に繋げることが可能です。離職は企業にとって大きな損失であり、採用コストの増加、ノウハウの流出、生産性の低下など、様々な悪影響を及ぼします。eNPSを通じて従業員の定着率を高めることは、企業の安定的な成長に不可欠です。従業員が会社に愛着を持ち、長く働き続けたいと思える環境を作ることは、企業の持続可能性を高める上でも重要な戦略です。
eNPSスコアと離職率の相関関係を分析することで、離職の兆候を早期に捉え、適切な対策を講じることができます。例えば、特定の部署でeNPSスコアが低い場合、その部署の労働環境やマネジメント体制に問題がある可能性が考えられます。具体的な対策としては、労働環境の改善、研修制度の導入、メンター制度の導入などが挙げられます。これらの対策を通じて、従業員の満足度を高め、離職率を低下させることが期待できます。
eNPSスコア | 離職率への影響 | 具体的な対策 |
---|---|---|
低い | 離職率が高い傾向 | 労働環境の改善、研修制度の導入、メンター制度の導入 |
高い | 離職率が低い傾向 | 現状維持、更なる満足度向上のための施策検討 |
企業文化の向上
eNPSは、企業文化の醸成にも大きく貢献します。従業員が自社を推奨したいと思えるような、ポジティブで活気のある企業文化を築くことは、優秀な人材の獲得、従業員のモチベーション向上、生産性向上に繋がります。eNPSを通じて従業員の声を収集し、企業文化の改善に繋げることで、より魅力的な職場環境を創造することが可能になります。例えば、風通しの良いコミュニケーション環境の整備、従業員の自主性を尊重する制度設計、多様性を重視した人材育成などは、eNPS向上に繋がる施策と言えるでしょう。これにより、従業員がより積極的に業務に取り組み、企業全体の活性化に繋がる効果が期待できます。
eNPSの計測方法
eNPSを正しく計測するためには、適切なアンケート設計、回答の集計と分析、そして結果に基づいたアクションが不可欠です。具体的な手順は以下の通りです。
アンケートの設計
eNPSの計測は、従業員に「あなたは今の会社を友人や知人にどの程度勧めたいと思いますか?」という質問への回答を基に行います。この質問は0点から10点までの11段階で評価してもらい、その回答を以下の3つのグループに分類します。
区分 | 点数 | 説明 |
---|---|---|
推奨者 | 9点・10点 | 会社を強く推奨する従業員 |
中立者 | 7点・8点 | 会社に対して特に肯定的でも否定的でもない従業員 |
批判者 | 0点~6点 | 会社に不満を抱き、改善を必要とする従業員 |
この質問に加えて、自由記述形式で意見や感想を記入してもらう設問を設けることが推奨されます。数値による評価だけでは把握しきれない従業員の生の声を収集することで、より深い分析が可能になります。自由記述欄の設置は、従業員エンゲージメントの向上に役立つ施策を検討する上で貴重な情報を提供してくれます。
アンケートを実施する上でのポイントは以下の通りです。
- 質問は簡潔で分かりやすいものにする
- 回答にかかる時間を短くする(5分以内が目安)
- 回答へのフィードバックを約束する
質問の具体例
推奨度を問う質問以外に、自由記述形式で以下の質問を追加することで、より具体的な改善策を検討することができます。
- どのような点に満足していますか?
- どのような点を改善してほしいですか?
- 会社に求めることは何ですか?
これらの質問への回答は、eNPSスコア向上のための施策立案に役立ちます。
回答の集計と分析
回答が集まったら、推奨者の割合から批判者の割合を引くことでeNPSスコアを算出します。例えば、推奨者が70%、批判者が10%だった場合、eNPSスコアは70 – 10 = 60となります。算出したスコアは、業界平均値や自社の過去のスコアと比較することで、自社の現状を客観的に把握することができます。業界平均値は日本生産性本部が公表しているデータなどを参考にしましょう。
eNPSスコアだけでなく、自由記述欄への回答も丁寧に分析することが重要です。従業員の意見や要望を理解し、具体的な改善策に繋げることで、従業員エンゲージメントの向上に繋がります。テキストマイニングツールなどを活用することで、大量のテキストデータからキーワードを抽出することも可能です。
スコアの解釈
eNPSスコアは、絶対的な評価基準ではなく、相対的な指標として捉える必要があります。自社の過去のスコアとの比較や、同業他社のスコアとの比較を通して、自社の強みと弱みを分析することが重要です。
結果に基づくアクション
eNPSスコアと自由記述欄の分析結果を踏まえ、具体的なアクションプランを策定します。例えば、批判者の割合が高い場合は、その原因を特定し、改善策を実行する必要があります。従業員エンゲージメントを向上させるための施策としては、福利厚生の充実、研修制度の導入、社内コミュニケーションの活性化などが挙げられます。重要なのは、一度のアンケートで終わらせるのではなく、定期的にeNPSを計測し、継続的な改善プロセスを維持することです。これにより、従業員エンゲージメントの向上、離職率の低下、ひいては企業業績の向上に繋げることができます。
eNPSを活用することで、従業員の会社に対するロイヤルティを可視化し、より良い職場環境づくりに繋げることができます。
eNPSスコアの活用事例
eNPSスコアは、ただ数値を算出するだけでなく、その結果を分析し、具体的なアクションに繋げることで真価を発揮します。ここでは、eNPSスコアを効果的に活用するための事例を具体的に紹介します。
リクルートメントにおける利用法
eNPSスコアは、企業の魅力度を測る指標として、採用活動にも活用できます。求人情報にeNPSスコアを掲載することで、企業の働きやすさをアピールし、優秀な人材の獲得に繋げられます。また、応募者へのアンケートでeNPSのような質問を取り入れることで、入社意欲の高い人材を選別する指標にもなります。
採用広報への活用
高いeNPSスコアを採用ホームページや求人媒体に掲載することで、企業イメージの向上を図り、応募者数を増やすことが期待できます。ポジティブな口コミとして効果的に活用しましょう。
採用面接での活用
面接時にeNPSの取り組みについて説明することで、企業の従業員満足度への意識の高さをアピールできます。応募者からの質問にも繋がるため、双方向のコミュニケーションを深める機会にもなります。
定期的な社員フィードバックの重要性
eNPS調査は一度実施して終わりではなく、定期的に実施することが重要です。継続的に調査することで、施策の効果測定や従業員満足度の変化を把握できます。また、定期的な調査は、従業員に対して企業が彼らの声に耳を傾けているというメッセージとなり、エンゲージメントの向上に繋がります。
四半期ごとの実施と振り返り
3ヶ月に一度eNPS調査を実施し、結果を部門ごとに分析することで、短期的な変化を捉え、迅速な対応が可能になります。各部門で結果を共有し、改善策を検討する場を設けることで、より効果的な改善に繋がります。
年次調査による長期的なトレンド把握
年1回の調査では、長期的なトレンドを把握し、大きな方向性の修正に役立ちます。前年との比較分析を行うことで、施策の有効性を検証し、次年度の計画に反映させることができます。
社内コミュニケーションの改善
eNPSスコアは、社内コミュニケーションの改善にも役立ちます。低いスコアの場合、社内コミュニケーションに課題がある可能性を示唆しています。従業員からのフィードバックを分析することで、コミュニケーションのボトルネックを特定し、改善策を立案できます。
課題 | 改善策 | 効果 |
---|---|---|
部門間の情報共有不足 | 社内SNSの導入、定期的な合同会議の実施 | 部門間の連携強化、業務効率化 |
上司と部下のコミュニケーション不足 | 1on1ミーティングの導入、フィードバック制度の導入 | 相互理解の促進、業務改善 |
トップダウンの情報伝達不足 | 社内報の発行、経営層からのメッセージ配信 | 透明性の向上、企業理念の浸透 |
eNPSスコアを活用することで、従業員エンゲージメントを高め、生産性向上、離職率低下、企業の成長に繋げることができます。適切な方法でeNPS調査を実施し、結果を分析・活用することで、より良い職場環境を構築していきましょう。
eNPS導入のメリット
eNPSを導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。従業員満足度の向上、企業文化の醸成、そして最終的には業績向上に繋がる効果が期待できます。eNPSは単なる数値ではなく、企業の成長を促すための重要なツールとなるのです。
企業文化への影響
eNPSは、従業員が企業に対してどのような感情を抱いているのかを可視化します。従業員が会社を推奨したいと考えているか、それとも不満を抱えているのかを把握することで、企業文化の現状を理解することができます。eNPSを活用することで、従業員が働きやすい環境づくりを促進し、ポジティブな企業文化を醸成することが可能になります。例えば、eNPSの低い部署では、従業員同士のコミュニケーション不足や、上司からの適切なフィードバックがないといった課題が明らかになるかもしれません。これらの課題を改善することで、従業員エンゲージメントを高め、より良い企業文化を築くことができます。
eNPS導入による企業文化への影響を具体的に示すと以下の通りです。
影響 | 詳細 |
---|---|
風通しの良い組織文化の醸成 | 従業員の声を拾い上げることで、組織内の課題を早期に発見し、改善に繋げられます。これにより、風通しの良い組織文化を築き、従業員が安心して働ける環境を作ることができます。 |
従業員エンゲージメントの向上 | eNPSを通じて従業員の意見を尊重し、企業活動に反映することで、従業員は会社への愛着を深め、より積極的に業務に取り組むようになります。 |
企業価値の向上 | 優れた企業文化は、優秀な人材の獲得や顧客からの信頼獲得に繋がります。eNPSを通じて企業文化を改善することで、企業価値を高めることができます。 |
業績向上との関連
eNPSと業績には密接な関係があります。従業員エンゲージメントの高い企業は、生産性が高く、顧客満足度も高い傾向にあります。eNPSが高い企業は、従業員が積極的に業務に取り組み、顧客に対して質の高いサービスを提供するため、結果として業績向上に繋がります。例えば、推奨者の割合が高い企業は、離職率が低く、採用コストの削減にも繋がります。また、従業員のモチベーション向上は、生産性の向上に直結し、企業の収益増加に貢献します。
業績向上に繋がる具体的な例
- 離職率の低下による採用コストの削減
- 従業員モチベーション向上による生産性向上
- 顧客満足度の向上による売上増加
- 企業イメージ向上による優秀な人材の獲得
従業員満足度の向上
eNPSは、従業員満足度を測るための指標として活用できます。eNPSを通じて従業員の声を収集し、企業活動に反映することで、従業員は会社に認められていると感じ、満足度が向上します。例えば、eNPSアンケートで寄せられた意見を元に、福利厚生制度を改善したり、職場環境を整備したりすることで、従業員の満足度を高めることができます。また、eNPSの結果を社内で共有することで、従業員同士のコミュニケーションを促進し、一体感を醸成することも可能です。eNPSは、従業員満足度を高めるための具体的な施策を立案する上で、貴重な情報源となります。
従業員満足度向上に繋がる具体的な例
- 福利厚生制度の充実
- 働きやすい職場環境の整備
- キャリアアップ支援制度の導入
- 適切な評価とフィードバックの実施
- ワークライフバランスの推進
eNPS計測の注意点
eNPSを正しく計測し、その結果を効果的に活用するためには、いくつかの注意点に留意する必要があります。これらを理解せずに実施すると、信頼性の低いデータを取得してしまう可能性があり、結果として誤った施策に繋がる恐れがあります。本項では、eNPS計測の際に特に注意すべき点について詳しく解説します。
バイアスを避ける方法
eNPSの計測において、バイアス(偏り)は正確な結果を得る上での大きな障害となります。バイアスには様々な種類がありますが、代表的なものとしては回答者への影響、質問の設計、回答環境などが挙げられます。
回答者への影響
回答者に特定の回答を誘導するような質問の仕方や、回答へのプレッシャーは避けなければなりません。例えば、「会社に貢献していると感じますか?」のような質問は、肯定的な回答を促す可能性があります。また、上司が同席する中でアンケートを実施するなどもってのほかです。このような状況では、本音での回答が難しく、正確なeNPSスコアを算出することができません。
質問の設計
質問の設計もバイアスに大きく影響します。曖昧な表現や専門用語を避け、誰にとっても理解しやすいシンプルな質問にすることが重要です。例えば、「職場環境に満足していますか?」という質問よりも、「現在の職場環境について、同僚にどの程度勧めたいと思いますか?」とeNPSの設問に沿って質問する方が、より具体的な回答を得やすくなります。
回答環境
回答しやすい環境を用意することも重要です。匿名性を保証し、安心して回答できる環境を作ることで、より正直な意見を集めることができます。回答方法も、オンラインアンケートシステムなどを活用することで、回答のハードルを下げることができます。
匿名性の確保
eNPS調査では、従業員が安心して本音を回答できるよう、匿名性を確保することが極めて重要です。匿名性が担保されていない場合、評価への不安から忖度した回答をしてしまう可能性が高くなります。これでは正確な現状把握ができず、eNPSを導入する意味がなくなってしまいます。
匿名性を確保するためには、回答方法と集計方法に工夫が必要です。例えば、回答方法としては、記名式ではなく、オンラインのアンケートシステムを利用する方法が有効です。また、回答を集計する際も、個人が特定できるような形で結果を公表しないように注意しなければなりません。部署ごとの平均値を公表する場合でも、人数が少ない部署の場合は個人が特定される可能性があるため、注意が必要です。小規模な組織の場合は、eNPSではなく他の従業員満足度調査を検討する方が良い場合もあります。
項目 | 具体的な方法 |
---|---|
回答方法 | オンラインアンケートシステムの利用、回答用紙を回収箱に投函 |
集計方法 | 個人を特定できない形で集計、部署ごとの平均値を公表する際は人数に配慮 |
継続的な改善プロセスの維持
eNPSは一度計測すれば終わりではありません。継続的に計測し、改善していくことが重要です。定期的にeNPSを計測することで、施策の効果測定や新たな課題の発見に繋がります。また、従業員に会社が自分たちの声に耳を傾けていることを示すためにも、継続的な計測とフィードバックは重要です。
eNPSスコアを向上させるためには、結果に基づいて具体的なアクションプランを策定し、実行していく必要があります。例えば、スコアが低い場合は、その原因を探るための追加調査を実施したり、従業員との面談を実施したりするなどの対策が必要です。また、改善策を実施した後は、その効果を検証するために再度eNPSを計測し、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
具体的なPDCAサイクルの例
- Plan(計画):eNPSの目標値を設定し、具体的な施策を計画する(例:社内コミュニケーション活性化のための施策を実施)
- Do(実行):計画に基づいて施策を実行する(例:月に一度の懇親会の実施)
- Check(評価):施策実施後、eNPSを再計測し、効果を検証する
- Action(改善):効果が低い場合は、施策内容を見直し、改善策を検討する
このように、eNPSを活用して継続的な改善プロセスを維持することで、従業員満足度を高め、ひいては企業の成長に繋げることが可能になります。
eNPS計測のツールとリソース
eNPS計測を効果的に行うためには、適切なツールとリソースを活用することが重要です。ここでは、eNPS計測に役立つツールと関連書籍・資料を紹介します。
eNPS計測に役立つツール
eNPSサーベイの実施・集計・分析を効率化し、より深い洞察を得るためには、専用のツールが有用です。無料から有料まで様々なツールが存在し、組織の規模やニーズに合わせて最適なものを選ぶことができます。
無料ツール
コストをかけずにeNPS計測を始めたい場合、無料ツールは手軽な選択肢となります。ただし、機能が限定的である場合もあります。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
Googleフォーム | アンケート作成が容易で、回答結果の集計も自動で行えます。スプレッドシートとの連携もスムーズです。無料であるため、手軽にeNPS計測を始められます。 |
Microsoft Forms | Microsoft Office製品との連携が優れており、組織内で既にMicrosoft製品を利用している場合に適しています。アンケートの分岐設定なども可能です。 |
有料ツール
より高度な機能や分析を求める組織には、有料ツールがおすすめです。従業員エンゲージメント向上のための施策立案に役立つ機能も搭載されています。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
スマイルサーベイ | 多様なアンケートテンプレートが用意されており、eNPSだけでなく、ES調査なども実施できます。リアルタイムな分析ダッシュボードで、従業員の状況を可視化できます。 |
モチベーションクラウド | 組織改善コンサルティングで培われたノウハウに基づいたアンケート設計が可能です。eNPSスコア向上のための具体的なアクションプランを提案してくれます。 |
Wevox | 従業員のエンゲージメントを可視化し、組織の課題を特定することに特化したツールです。eNPSの計測だけでなく、組織改善のためのコンサルティングサービスも提供しています。 |
関連する書籍と資料
eNPSに関する理解を深め、より効果的な活用方法を学ぶためには、関連書籍や資料の活用が不可欠です。eNPSの基本的な考え方から、実践的な活用事例まで、幅広い情報が提供されています。
書籍
- フレッド・ライクヘルド『究極の質問』:eNPSの提唱者であるフレッド・ライクヘルドによる著書。eNPSの概念や活用方法について詳しく解説されています。
- ベイン・アンド・カンパニー『ネット・プロモーター・システム』:eNPSに関する研究成果をまとめた書籍。eNPSの有効性や活用事例について学ぶことができます。
資料
- 各eNPSツール提供会社のウェブサイト:多くのツール提供会社が、eNPSに関する資料やホワイトペーパーを公開しています。具体的な活用事例やツールの機能について詳しく知ることができます。
- 人事関連の業界団体やコンサルティング会社のウェブサイト:eNPSに関する調査レポートやセミナー情報などを提供している場合があります。
これらのツールとリソースを活用することで、eNPS計測をスムーズに進め、従業員エンゲージメントの向上に繋げることが可能になります。自社の状況に合わせて最適なツールとリソースを選び、効果的に活用しましょう。
まとめ
eNPSは、従業員の企業への推奨度合いを測るシンプルな指標でありながら、社員満足度や企業の成長に深く関わっています。本記事では、eNPSの概要から計測方法、活用事例、導入メリット、注意点までを網羅的に解説しました。eNPSを理解し、効果的に活用することで、企業は大きなメリットを得ることができます。
eNPSを活用することで、社員が会社をどれほど推奨したいと思っているかを数値化し、現状を把握できます。この数値は、単なる満足度調査とは異なり、従業員のロイヤルティや将来の成長可能性を示唆する重要な指標となります。eNPSが高い企業は、従業員エンゲージメントが高く、離職率が低い傾向があります。また、生産性向上や企業業績向上にも繋がることが期待できます。逆にeNPSが低い場合は、社員の不満や課題を早期に発見し、改善策を講じるきっかけとなります。
eNPSの計測は、適切なアンケート設計と継続的な実施が重要です。従業員が安心して回答できる匿名性を確保し、バイアスを避けるための工夫も必要です。集計・分析した結果に基づいて具体的なアクションを起こし、改善プロセスを継続することで、eNPS向上へと繋げられます。eNPS計測ツールを活用することで、効率的な運用も可能です。
eNPSは、企業文化醸成、業績向上、そして従業員満足度向上に繋がる強力なツールです。本記事で紹介した内容を参考に、eNPSを効果的に活用し、より良い職場環境づくりと企業の成長を実現しましょう。未来を見据え、eNPSを継続的に活用することで、企業は持続的な発展を遂げることが期待できます。